ご質問の多い司法面接についてまとめました!

ご質問の多い司法面接についてまとめました!

1 司法面接

1-1 司法面接とは

今日は、こころテラスの講座にも登場する「司法面接」について書きたいと思います。以下の説明は、司法面接の権威である北大の仲先生が関わっているホームページで紹介されているものです。

「司法面接とは、子ども(および障害者など社会的弱者)を対象に、以下の3つの目的を持って行う面接のことです。”forensic interview”と呼ばれることもあります。 目的1:子どもからの聞き取りが子どもに与える負担をできる限り少なくする。 目的2:子どもから聞き取る話の内容が間違った誘導の結果ではないかという疑念がもたれる可能性をできるだけ排除する。 目的3:子どもの関わった事件が何らかの作為による虚偽の話ではなく実際にあった出来事であるかどうかを検討するための情報を得る。

何となくイメージが湧きましたでしょうか?虐待された子どもや犯罪の目撃者となった子どもを面接するための面接技法とイメージしてもらえば分かりやすいでしょうか。

1-2 なぜ、面接技法が必要になるのか。

では、なぜふつうに聞くだけでは足りず、特別な技法が必要なのでしょうか。日常の生活の中では、話をすることはごくごく自然なことであり、技法を使う会話がイメージしにくいかもしれません。

その答えは、子どもは、言語能力や被暗示性の高さ等の制限を持ちながらも、弱者であるがゆえに虐待等の被害者になりやすく、また、事件の重大な目撃証人ともなりえるから、ということになります。

過去に、国内外で、子どもの証言が事件解決の鍵となった事件や、解決したと思ったらその証言の信憑性が問題になり、判決が覆るということが連続して起こりました。 以下は、その一例です。ネットで検索してみると色々出てきます。

・エビス屋のぶーちゃん事件(3歳)
・甲山事件(11~17歳の精神薄弱児)
・クリーブランド事件 ・ケリー・マイケルズ事件(1988年、4歳児の発話から。有罪の後すべての事件が棄却)
・リトルラスカルズ保育所事件 

このような経緯もあり、子どもからキチンと話を聞くテクニックを確立しなければならないという風潮になったわけです。 

1-3 子どもの被暗示性とは

先ほど、子どもは言語能力の制限や被暗示性の高さという特徴があると書きました。この、「被暗示性」とは何でしょうか。これについては、おもしろい実験を北大の仲先生に紹介してもらったことがあります。 どういう実験かというと、幼稚園の年長児に「行ってもいない遠足の話」についての聞き取りを行ったところ、次々と驚き発言が飛び出した、というものです。

たとえば、以下のようなやりとりです。

先生:この前行ったサクランボ狩り楽しかったよね~。(サクランボ狩りは本当に行ってます。)
園児:うん!ぼくいっぱい食べちゃった!

-中略-(サクランボ狩りの話題)

先生:そういえば、ブドウ狩りも楽しかったよね。(ブドウ狩りは行ってません。)
園児:???
先生:あれ、○○くん忘れちゃった? この前みんなでバス乗っていったじゃない?
園児:あ、ブドウ狩りね。
先生:そうそう。よかった~、思い出してくれて。○○くんはブドウもいっぱい食べたかな?
園児:うん。食べたよ。ぼくね、木からこうやって(身振り手振り)取ったんだよ。

と、行ってもいない遠足の話をついには身振り手振りを交えて始めてしまうのです。私も最初にそのビデオを見たときは、本当に子どもの被暗示性高さを目の当たりにした気がしました。

子どもは、先生という信頼した相手が嘘をつくはずがないと思っていますし、思い出したことで大好きな先生が喜んでくれると次々と話してしまうのです。このとき、子どもに嘘をついているという意識はないのでしょう。

この実験からも分かるように、子どもは被暗示性が高く、周囲からの影響を大きく受けます。

1-4 NICHDプロトコル

では、具体的にはどのような手法を用いて面接を行うのでしょうか。各国で色々な手法が開発されていますが、細部は違うものの、大筋は同じような内容になっています。

ここでは、比較的メジャーな「NICHDプロトコル(National Institute of Child Health and Human Development)」を紹介したいと思います。

このプログラムは、

① 紹介
② グラウンドルール
③ ラポール
④ 出来事を思い出す練習
⑤ 自由報告(本題への移行)
⑥ クロージング

という内容になっています。

簡単に説明しますと、

①紹介→カメラが設置されていることや、マジックミラーの裏に聞いている人がいることやその理由等を説明

②グランドルール→面接のルールの説明や練習をする。たとえば、面接者が間違ったことを言ったら「間違っている。」と言ってほしいことや、その練習のためにわざと間違ったことを言って訂正してもらったりします。

③ラポール→簡単に言うと「仲良しになる。」ということです。

④出来事を思い出す練習→出来事を語るのは、習慣や知識を語るより難しいとされています。ですので、最近あった行事等を話す練習をしてもらいます。

⑤自由報告→面接の要です。本題に入り、子どもに語ってもらいます。ここで子どもの「自由」な報告となるよう色々面接技法があります。

⑥クロージング→子どもへのねぎらいと一般的な話題に戻して気分を変える。

とこんな感じです。

2 自由報告とは

では、面接の要である「自由報告」について簡単に説明します。

この司法面接における自由報告、子育て中の親御さんであれば、みなさん多かれ少なかれ参考にしてもらえる部分があるのでは、と思います。

さて、この自由報告ですが、「自由」というくらいですから、とにかく被面接者が面接者や他のものから影響を受けずに、真実をたくさん語れるよう面接を行うことに目的があります。(たくさんというのがミソです。)

で、全部書きだすととてもブログレベルではお伝えしきれない内容になるので、今回は「質問の仕方」に絞ってお話します。

2-1 「オープンクエスチョン」と「クローズクエスチョン」

みなさんは、「オープンクエスチョン」、「クローズクエスチョン」という言葉を聞いたことがありますか? オープンは「イエス、ノー」では答えられない質問、クローズは「イエス、ノー」で答えられる質問を指します。

例えば、「今日のお昼ごはんおいしかった?」はクローズです。「今日のお昼ごはん何だった?」はクローズに近いオープン、「今日のお昼ごはんどうだった?」はオープン、といった感じです。

司法面接では、このオープンをもっと細かくレベル分けし、使い分けます。一番望ましいとされるのは、「相槌」です。「うん、うん。」「それで、それで。」「それから?」など、被面接者の話をただただ促すのみです。

次の段階として、「〇〇のこともっと教えて。」「〇〇から〇〇までにあったことを教えて。」と区間を区切って自由に話してもらいます。で、次あたりでようやく「誰が、どこで、何を」といった具体的なことや頻度、態様等を聞いていきます。

そして、望ましくない質問としては、誘導質問があります。これは、「〇〇だった?」というように面接者が語ってしまっているような質問です。

2-2 会話例

これだけ書いてもちょっと分かりにくいと思いますので、性的虐待を受けた子どもの司法面接と仮定して会話例を書いてみます。

面接者:お家でお父さんとお風呂に入るときのこと教えてくれる?
子:お父さんとはね、よく一緒にお風呂に入るよ。
面:うん、うん。それから?
子:いつもね、体とか頭とか洗ってくれる。
面:そうか、そうか。他にもお風呂に入るときのこと教えてくれる?
子:うーん、湯船に入ってクイズしたり、歌、歌ったり。他にはわかんない。
面:うん、ありがとう。たくさん教えてくれてよく分かったよ。じゃ、次はお父さんが体を洗ってくれるときのこと教えてくれる?
子:お父さんがタオルを泡立てて私の体を洗ってくれるの。
面:うん、うん。
子:ちょっとくすぐったいときもあるけど。
面:ふーん、そうなんだね。くすぐったいの他に何か思うことあるかな?
子:うーん、ちょっといやなこともある。
面:嫌なこと?
子:お父さんが、おっぱいとか、おまたとかすぐ触ってくるから。
面:そうなのね、そのときのこと教えてくれる?
子:うーん、わかんない。
面:お父さんがおっぱいとかおまたとか触ってきたのは、いつぐらいからかな?
子:うーん、去年の夏くらいから。
面:回数はどのくらいかな?
子:お風呂に入るとだいたい毎回

といった具合です。この例では、お父さんとの入浴を自由に報告してもらい、性的虐待が疑われる場面で徐々にクローズに近い細かい質問をしていく、という流れになっています。

これに対して、こんな会話どこかで聞いたことありませんか?

「我が子がどうやら学校でいじめられて帰ってきたらしい。親同士の噂では、○年○組のいじめっ子は△△だと聞いたことがある。」

という設定の親子の会話です。

親:○○、その傷どうしたの?
子:・・・・
親:誰かに叩かれたんじゃないの?
子:・・・・
親:きっと△△でしょ。みんなあの子は乱暴な子だって言ってるわよ。
子:・・・が当たった・・・。
親:どこ叩かれたの?
子:肩とか・・・。
親:△△がやったのね!
子:・・・・
親:ちゃんとお話してくれないと大変なことになるのよ。△△よね。
子:う、うん・・・。

みたいなこと、皆さんもありませんか?

この二種類のやりとり、大きな違いが二つあります。一つは子どもの発言量の違いです。司法面接では、どのような質問をすると被面接者の発言量が増えるかという研究に基づいています。ですので、司法面接のプログラムにのっとって面接を進めると、自然と被面接者から得られる情報量が多くなります。

もう一つの違いは、最初の面接では面接者が子どもに教えてもらうという形式になっていますが、後のは、面接者の中に既に答えがあって、それを確認するというパターンになっていることです。

こうなってしまうと、面接者の中にある答え以外の情報は得られませんし、ましてやそれが間違っていた場合は、間違った面接結果となってしまいます。

3 司法面接と子どもとの会話

司法面接とお子さんとの日常の会話はそもそも目的も違うので、そのまま当てはめられるわけではありません。しかし、参考にできる部分も多く、親御さんが「聞き上手」になることで、お子さんの話す力がどんどん伸びていきます。

こころテラスでは、この司法面接を子育ての場面に応用した講座を開講しています。ご興味のある方は是非体験してみてください。お子さんとの日常会話がもっと楽しくなると思います。

 

 

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